漢方薬治療は健康保険が使える漢方エキス剤を使用しています。煎じ薬による治療は行っておりません。
漢方薬とは?
漢方薬の治療は約2000年以上も昔に成立した治療体系で、その時代は血液検査もレントゲンも超音波検査も無かったので、病人を分析する方法として、脈や腹の状態、顔色、息の匂い、尿や便の状態、舌の状態などを見ることしか出来ませんでした。そして、使用する薬の材料(生薬)も、草や木の根、葉、花、実や、動物や昆虫、蛇、化石、キノコなど自然から得られるものを利用して治療に使ってきたのが漢方薬です。何だか原始的な治療と思われるかもしれませんが、そこに漢方の理論的な診断と2種類以上の生薬を組み合わせることで、薬の副作用を減少させて、効果は最大限発揮させるように工夫されているのが漢方薬治療です。現代医学では思うように効果が得られない慢性疾患や検査しても原因のハッキリしない治りにくい症状に対して、漢方治療を行うと良好な治療効果が得られることも少なくありません。健康保険も医療用漢方エキス剤であれば適応があることから、多くの日本の医師が治療に漢方薬を取り入れています。
医学の発達した現代の日本では、検査で得られる情報を元に病気を分析し、科学的理論に基づく漢方薬の運用を重視する方法論が、古代からの脈診や腹診、舌診を重視する伝統的方法論と融合する形で探求されています。皮膚科以外の診療科の病気の場合、検査をしても明確に病態が分からない場合などには、伝統的な脈診や腹診、舌診が特に必要となりますが、皮膚病の場合には検査によらなくても病態が分かることもあります。そういった場合、必ずしも脈診や腹診、舌診に頼らなくても、皮膚病の病態(皮疹)を分析し、それに最も合った漢方エキス剤を生薬の薬効から選択することで治療を行うことができることがあります。
漢方の副作用について
漢方薬は原則論さえ間違えなければ、命にかかわるような副作用を起こすことも少ないのですが、薬である以上予期しない副作用が出ることがあります。
副作用としては間質件肺炎,腸間膜静脈硬化症、偽アルドステロン症、喘息様発作、薬疹、悪寒や手足の冷感、食欲不振、下痢、胃部不快感、頻脈、下痢、胃もたれなどがあります。
服用することで、新たに出てきた症状があれば診察時にどんなことでもお知らせください。飲み続けて良いのか、中断あるいは変更した方が良いのかを検討させていただくことが大切だと考えています。
当院の漢方を用いた治療法
当クリニックでは、皮膚病の病態(皮疹)を分析し、それに最も合った漢方エキス剤を生薬の薬効から選択する治療を研究して、著書や漢方の学会誌で報告を行ったり、東洋医学会、講演会、漢方研究会で漢方専門医、皮膚科医への情報発信に努めています。